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8月11日松下幸之助一日一話(松下幸之助,COM) 小便が赤くなるまで 「商売は非常にむずかしく厳しい。いわば真剣勝負だ。商売のことをあれこれ思いめぐらして眠れない夜を幾晩も明かす。それほど心労を重ねなければならない。心労のあまりとうとう小便に血が混じって赤くなる。そこまで苦しんではじめてどうすべきかという道が開けてくる。だから一人前の商人になるまでには二度や三度は小便が赤くなる経験をするものだ」 これは私が小僧時代に店のご主人に聞かされた話ですが、今にして思えばこれは決して商人だけにあてはまることではないと思います。何をするにしても、これだけの苦しみを経ずして成功しようとするのは、やはり虫がよすぎるのではないでしょうか。 【コラム】筆洗(東京新聞) 筆洗 2013年8月10日 戦記とは…。<読者を司令官の気分にさせる書物。兵隊の気分になる読者はいない>。筒井康隆さんの『現代語裏辞典』(文芸春秋)による皮肉たっぷりの定義である ▼確かに勇ましい戦記を読んだり、戦争映画を見たりすれば、虫けらのように殺される人たちではなく、英雄的な司令官や武将に感情移入するものだ ▼きょう公開される『最愛の大地』は、女優アンジェリーナ・ジョリーさんが脚本を書いて、監督した初の長編映画だ。旧ユーゴスラビアで起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を描いた戦争ものだが、この作品を見て、「司令官の気分」になる人はまずいないだろう ▼ボスニアでは、隣人として生きてきた人々が、民族と宗教とを対立軸に殺し合う日々が三年半続き、二十万の命が失われた。それだけではない。女性への性の暴力が、敵対民族を侮辱し攻撃する「兵器」として使われた。五万人以上もの女性が犠牲になった、その現実を『最愛の大地』は直視している ▼映画で描かれるおぞましい場面の数々は、残念ながら過去の悲劇ではない。内戦が続くシリアでは十万人が殺され、小さな女の子までが性の暴力にさらされている。英紙によると、人質の女性らを裸にして並ばせ「人の盾」として使うようなことまでが、目撃されている ▼戦場とは、人間の心の闇の深さをまざまざと映し出す鏡なのだろう。 2013年8月11日天声人語(OCN*朝日新聞デジタル) 天声人語 ▼泣く子と地頭(じとう)には勝てぬ」と諺(ことわざ)に言うほどだから、泣く子をあやすのは難しい。俳人の中村汀女(ていじょ)に〈秋暑き汽車に必死の子守唄〉の一句があって、親の方が泣きたくなるような光景が目に浮かぶ ▼自分のことではなく、汽車に乗り合わせた母子だそうだ。残暑の車中、母親への同情をこめた描写は、まわりの乗客の困った顔まで想像させる。汽車は混んでいたに違いない ▼時は流れて平成。子どもの声への不寛容は往時の比ではなくなった感がある。「泣く子のせいでバスから降ろされた」「機内で泣きやまず、降りるときに何人かから罵声を浴びた」といった声が、半年前の本紙別刷り「be」に載っていた。この手の話を、昨今よく聞く ▼かつて小欄で子どもの肩を持ったら、ずいぶん反論を頂戴(ちょうだい)した。若い親の甘やかしや、公共の場での無責任を叱る声が目立っていた。意外なことに年配の女性からの苦言が多かった ▼うなずく点もあったが、生身の存在である子どもが泣いて、周囲の不機嫌に親が縮こまる図はいかがなものだろう。遊び声さえ迷惑がるご時世、「社会で育てる」という言葉はむなしくないか――などと、お盆休みの交通混雑のニュースを見ながら考えた ▼親御さんの処世術としては、新幹線でも飛行機でも、先に周囲にあいさつしておくだけでだいぶ違うようだ。気づかいと寛容で歩み寄り、「お互いさま」の雰囲気をつくりたいものだ。「旅は道づれ世は情け」と、これも諺に言う。道中は楽しい方がいい。
by nk2336nk
| 2013-08-11 06:23
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